義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

2020-01-01から1年間の記事一覧

【義足処方例】両側下腿切断 超低活動K1レベル PTBカフベルト懸垂

最近の症例です。 高齢男性 両側下腿切断 切断原因:血管原性 低心機能(EF30%台) 活動レベル:K1 年齢や全身状態を考えると高望みはできませんでしたが、ご自身がどうしてもまた歩きたいと強く希望されて当院にいらっしゃいました。 この方の目標は自宅の…

義足の自己管理①|シリコーンライナーの正しい扱い方と装着方法

日々のケア 正しい装着方法 回復期リハ病棟に入院して義足リハを実施する目的の一つに義足や断端の自己管理方法を習得することがあります。 義足の自己管理の中にシリコーンライナーの管理が含まれます。 下腿義足ユーザー、大腿義足ユーザーの多くは義足を…

急性期の義足リハビリテーション(2021年1月更新)

急性期というのは手術が終わってすぐの時期を言います。 義足を希望する場合、通常は急性期病院の次に回復期リハビリテーション病院やリハビリテーションセンターに転院することになります。それまでの期間が急性期です。 急性期病院では断端部の創治癒と全…

義足リハビリテーションの流れ 下腿切断の仮義足

手術は通常、急性期病院で行われます。急性期病院というのは救急もやっているような総合病院のことです。悪性腫瘍の場合はがんセンターのような専門病院で手術が行われます。 切断原因が糖尿病、外傷、悪性腫瘍のいずれであっても、リハビリのメインは転院し…

下肢切断術後の義足適応の考え方(2021年6月更新)

義足の適応について聞かれることがあるので、この記事にまとめてみました。 基本的に私はできるだけ多くの下肢切断者に義足を処方したいと考えています。 とはいえ、これは厳しい…と言わざるを得ない場合があるのも事実です。 急性期病院であれば切断の患者…

義肢(義足・義手)の勉強法と教科書

この記事は義肢に関わる若手リハ医や整形外科医向けです。 以前twitterで、義足や義手について教えてくれる先輩ドクターがいなくて苦労したみたいなことをつぶやきました。 実際、義肢(義足・義手)の分野は教科書だけ読んでいてもよく分からないと思います…

糖尿病で足を失わないためには足潰瘍の予防が重要 - 2021年3月更新【NEJM】糖尿病足潰瘍のレビュー論文

糖尿病は下肢切断の原因の一つです。 なぜ糖尿病で下肢切断に至るのか? NEJM論文Diabetic Foot Ulcers and Their Recurrenceの以下の図が大変分かりやすかったのでご紹介します。 https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1615439 ① 糖尿病が悪化 ②-1 …

【義足処方例】下腿義足 K2レベル PTBカフベルト懸垂

仮義足です。 切断原因は糖尿病による足壊疽、活動レベルはK2*1です。 義足の処方内容 懸垂方法:カフベルト懸垂 ソケットの形状(荷重方法):TSB(Total Surface Bearing) シリコーンライナー:デルモクッションライナー(オズール社) www.p-supply.co.j…

【義足処方例】下腿切断 K3レベル ピンロック懸垂

下腿義足の処方例です。仮義足です。 高齢女性、切断原因は非糖尿病性、活動レベルはK3*1 写真のような義足を処方するにあたり決めなければいけないのは懸垂方法、ソケットの形状、シリコーンライナー、足部の種類の4点です。なぜこの4点かというと、これら…

Kレベル|下肢切断者の活動レベル分類

切断者の活動レベルの表現方法にKレベル、Medicare Functional Classification Level(MFCL)というものがあります。 Kレベルはアメリカ合衆国の公的医療保険制度であるメディケアにおいて使われている移動機能を分類する指標です。 世界の義足関係の論文で…

義足ユーザーが車いすを使うことについて

切断レベルやその人の活動レベルによって車いすを使うこともありだと思っています。 僕は義足とそのリハビリテーションを提供する立場として、患者さんにはできるだけ義足を装着して歩いてほしいと思っています。 しかし、義足を必要とする患者さんの中には…

コンピュータ制御膝継手の正しい呼び方

義足のコンピュータ制御膝継手について原稿を頼まれていて、そろそろ書かかねばと思っている今日この頃です。 こういう原稿を書く時は自分が正しい用語を使っているか気をつけるようにしています。 また、日本の文献だけでなく海外の文献もできるだけ当たる…

切断術後のソフトドレッシングについて

※この記事は2020年11月4日に以下の記事に更新しました。 切断術後のソフトドレッシングにはスタンプシュリンカーを推奨します - 義足と義手(下肢切断と上肢切断)のリハビリテーション ↑ 弾性包帯によるソフトドレッシング。私が巻きました。 切断直後のソ…

切断術後の断端ケア 保湿はとても大事です

断端ケアは大事で、僕の病院では患者さんが転院して来られたらすぐに看護師さんから指導してもらうようにしています。 手術した病院から当院に転院してきた直後の患者さんの断端を見ると、断端がカピカピのことがよくあります。これはあまりよろしくないです…

義足できれいに歩ける身体ができているかをみるチェックポイント

大腿切断者がきれいに歩けるかどうか、私が判断しているポイントは義足側でしっかりと片足立ちができるかという点です。きれいに歩く大腿切断者はだいたい義足側にしっかり体重をかけて立位姿勢をキープすることができます(少しは何かにつかまっていてもOK…

大腿切断者にこれだけは行ってほしい日々のストレッチ

大腿切断術後は股関節の屈曲外転拘縮(断端が曲がって外を向くこと)が起きやすいです。この拘縮が強くなってくるときれいに歩けなくなります。義足のアライメントも変えなければいけません。 放っておくとどうしても屈曲外転拘縮は起きてきやすいので、日々…

上肢切断の手術後は幻肢痛治療のためにも仮義手のリハビリが必要

上肢切断は下肢切断に比べて幻肢痛で苦しむ方が多いです。これはやはり手のほうが足に比べて喪失感が大きいからだろうと思っています(決して上肢切断に比べて下肢切断のほうが障がいが軽いという意味ではありません)。 不思議なもので幻肢痛は何かに熱中し…