回復期リハ病棟に入院して義足リハを実施する目的の一つに義足や断端の自己管理方法を習得することがあります。
義足の自己管理の中にシリコーンライナーの管理が含まれます。
下腿義足ユーザー、大腿義足ユーザーの多くは義足を装着する際にシリコーンライナーを履いていると思います。
シリコーンライナーの正しい管理は大事です。扱い方を間違えると断端トラブルの元になります。
日々のケア
まずはシリコーンライナーを清潔に保つ方法を学びます。当院では弱酸性ビオレを買っていただき、各自一日の終わりに水道水で洗うことを習慣づけています。
断端の皮膚トラブルや臭いを防ぐためにも皮膚と接するシリコーンの部分は毎日洗ってください。
外側の布地も洗います。シリコーン部分のように毎日じゃなくてもいいです。衣服と同じと考えてください。衣服は洗濯しますよね。シリコーンライナーは洗濯機にかけられませんので手洗いをしてください。
↓シリコーンライナーの保管はフックを使った方法やスタンドを使った方法があります。
内側のシリコーン部分をタオルで拭いて、そのまま寝かせて置いておいても問題ないです。
↑シリコーンライナーをひっくり返して丸めた状態で保管するのはやめましょう。シリコーン部分が引き伸ばされてひびが入る原因になります。
正しい装着方法
次に、シリコーンライナーの正しい装着方法についてです。
J. of Clinical Rehabilitation 27巻3号 下肢切断のリハビリテーションのポイント 下腿義足の訓練のポイント
断端の末端とシリコーンライナーの間に空気の層ができないようにしっかりとシリコーンライナーを裏返して断端とライナーの間に隙間を作らずに履くことがポイントです。
これがきちんとできないと、断端の末端がキャッチピンに引っ張られ、陰圧状態になることで充血を起こし、ひどくなると傷(潰瘍)になります。
それから、キャッチピンの位置を常に正しい位置に持ってこれるというのも重要なポイントです。これができないと義足をライナーと連結することができません。
低活動者がキャッチピンを使ったピンロック懸垂が難しくなってくる理由はこの2つのポイントにあります。
シリコーンライナーは義足の中でも重要なパーツの一つです。ぜひ正しい使い方を覚えて安全に使い続けていただければと思います。
(2021年2月更新)