義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

修正キス懸垂

大腿義足の懸垂方法の一つであるキス懸垂について解説します。

キス懸垂は懸垂方法の形式としてはピンロック式と同じ遠位固定型に分類されます。

キスはKeep it simple suspensionの頭文字を取ったものです

KISS-Suspension KISS-Suspension prosthetic limb suspension by KISS Technologies LLC

オットーボック社のキスキットを使うことが多いので、キス懸垂と呼んでいます。

本来このキス懸垂は一般名であるランヤード懸垂(ひも、ストラップ懸垂)と呼ぶべきなのですが、ランヤード懸垂という言葉が日本では定着していないので、とりあえずキス懸垂と呼んでいます。

キス懸垂に使うキスキットはオットーボックのWebサイトにあるような物を使います。ライナーの遠位と近位にストラップを取り付けて、そのストラップ同士をソケット上で折り返して固定するという風にして使います。

近位に取り付けたストラップに注目してください。これがあることで近位にもソケットに穴を開けないといけないですし、ライナーの布地は痛めるし、断端袋は履けないしであまりいいことがありません。

そのため、私のところではキスキットの一部を利用した以下のようなランヤード懸垂を採用しています。

ライナーの先にキスキット用のストラップを取り付けます。ソケット前面下部に開けた穴にストラップを通して、そのストラップを近位まで引っ張ってきて、ソケット近位に取り付けたカンで折り返してベルクロで固定します。これなら本来のキスキットを用いた懸垂方法で起きる問題は生じません。

今までこの懸垂方法をキス懸垂と呼んでいたのですが、本来のキスキットを用いた懸垂方法と紛らわしいので、区別するために”修正キス懸垂”と呼ぶことにします。

ランヤード懸垂という用語がもっと広まってくれるといいのですが。普及に努めます。