義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

両側前腕切断者がどうやって筋電義手を装着するのか参考になる動画


Bilateral Arm Amputee Putting On Their Prostheses Without Help

上肢切断の患者さんを担当する可能性がある義肢装具士作業療法士、リハ医の皆さんに見てもらいたい動画です。

両側の上肢切断者は片側に比べて格段に大変なことが多くなります。つまり一人でできることが少なくなります。

両側の前腕切断であれば、義手を活用することで多くのことができるようになります。

両側上腕切断になると話は変わってきて難易度はかなり上がります。

両側肩離断は最高レベルに難易度が高いです。

両側前腕切断の場合の義手両側とも筋電義手もしくは片側筋電義手でもう片側は能動義手の組み合わせのどちらかが理想です。

義手を使うにあたり、どうやって一人で装着するか、ということが乗り越えなければならない壁の一つです。

今回ご紹介した動画はその壁を乗り越えるために役立つ動画だと思います。

能動義手であればそれほど厳密な適合(フィッティング)が必要ないので、差し込み式にしてもいいかと思います。

筋電義手は電極を反応させるために厳密な適合が必要です。そのため吸着式を併用するまた場合があります。

動画の義手ソケットの懸垂方法は顆上支持式+吸着式です。

肘頭の部分を大きくくり抜いてるので顆上支持の懸垂力では足りず、吸着式を併用することになったのではないかと推測します。

肘周りの拘束感が減るのはユーザーにとってメリット大きいです。

断端をソケットに吸着させるためには道具が必要です。通常、以下のような装着用ツールを使います。引き布(断端誘導帯)と言います。

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こちらはオットーボックの製品です。

これじゃなくても女性用のストッキングでも同じように吸着させることができます。安いしすぐに手に入るので、臨床ではしばしば使います。

動画の男性は非常に上手に筋電義手を装着されています。ユーザーさんの努力だけでなく、作り手である義肢装具士さんの努力や工夫もすばらしいと思います。