義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【義足処方例】下腿切断 K2レベル ピンロック懸垂

下腿義足 仮義足です。 男性 糖尿病合併 慢性腎不全で透析中 短断端 K2レベル*1 断端が短いと義足を装着して歩いた時に膝関節がグラグラと動揺しやすいです。一つの対策としてKBMっぽく側壁を高くしてソケットの拘束性を高める方法があります。これにより歩…

前腕能動義手(フック)の処方例

前腕能動義手(フック) 体格が大きな男性が使っている前腕能動義手(フック)です。 仮義手です。 当院では筋電義手を希望される方も、基本的に能動義手のリハビリは経験していただきます。 断端の長さは健側比39%でやや短めです。短いのでしっかり懸垂す…

前腕能動義手(ハンド)の処方例

前腕能動義手(ハンド) こちらは前腕切断の女性が使っている能動義手です。 仮義手です。 断端の長さは健側比68%と標準的な長さです。 断端の成熟がまだ激しい時期ですので、ソケットの懸垂力を確保するために顆上支持式ソケットにしました。 ハーネスは9…

下肢切断のリハビリテーション栄養

回復期リハビリテーション病棟でリハビリテーション治療を行うにあたり、十分な栄養をとることは大切です。 下肢切断者に限ったことではありませんが、ここでは下肢切断者のリハビリテーション栄養について考えていきます。 急性期病院から回復期リハビリテ…

前腕能動義手(フック)の処方例

前腕能動義手(フック) 70代男性の前腕能動義手です。 断端長70%(健側比)と長めです。 能動義手と筋電義手を併用されている方の能動義手です。どちらも使っていますが、仕事ではもっぱら能動義手を使っています。 機械の組み立てや塗装などの仕事をされ…

【まとめ】義足(下肢切断)のリハビリテーション

義足(下肢切断)のリハビリテーションについてまとめました。 リハビリテーション医学全体の中で切断はマイナーな分野です。対象となる患者さんが少なく、知識や経験が蓄積されにくいです。 私が経験してきたことや勉強してきたことをここに共有します。 切…

回復期リハビリ病棟退院後の義足ユーザーの外来フォローについて

今日は主に義肢装具士さん向けに記事を書きました。若いリハ医の先生方にも参考にしてもらえると嬉しいです。 外来フォロー 回復期の義足リハビリテーションが終了して退院したら、次は外来フォローです。 義足は一回作れば終わりというものではありません。…

低活動下肢切断者は退院時に介護保険制度を利用したほうがよい

これは主に高齢者、糖尿病、ASOを合併している低活動下肢切断者での話です。 低活動下肢切断者では退院後しばらくすると歩けなくなる、義足が装着できなくなることが少なくありません。 外来フォローも必要ですけど、それだけでは足りません。地域で見ていく…

断端に傷ができた時の対応で気を付けたほうがいいこと(2021年6月更新)

この記事は主に義足に関わるドクター、看護師、理学療法士、義肢装具士向けです。 断端にできた傷に何を貼るか 断端と義足のフィッティングはとても大切です。日々のフィッティング調整についてはこちらの記事を参考にしてください。 gisokutogishu.hatenabl…

義足のフィッティング(適合)調整について

今日の記事は義足に関わる理学療法士、医師、義肢装具士向けです。 できあがった義足のフィッティング(適合)調整でできることは以下の3点です。 断端袋で調整 ソケット内にパッドをあてて調整 熱を加えてソケットの形状を修正 1は、1番簡単にできることで…

【まとめ】義足の懸垂方法

義足(下腿義足と大腿義足)の懸垂方法についてまとめてみました。 臨床ではこの5つを覚えておきましょう。 ピンロック式(下腿義足、大腿義足) 吸着式(下腿義足、大腿義足) 差込式(下腿義足、大腿義足) キス懸垂(大腿義足) カフベルト懸垂(下腿義足…

【義足処方例】大腿切断 低活動(K2) 固定膝継手とキスキット

高齢男性 非血管原性 認知機能低下あり いろいろ検討した結果、固定膝継手を処方することになった症例です。高齢でしたが身体機能は保たれていました。しかし認知機能低下があることで膝継手は固定膝、懸垂方法はキスキットを選択することになりました。 大…

義足リハビリの入院期間(2021年1月更新)

義足の種類と構造 | Ottobock JP 今日は回復期の義足リハビリテーションの入院期間について書きます。転院前の面談で必ず私が患者さんにお伝えしていることです。 長いと感じるか短いと感じるかは人それぞれですが、だいたいこれくらいの期間がかかっていて…

切断者が義足を装着し続けるためには断端に傷を作らないようにすることが大切

義足を装着する上で最も重要なことは断端に傷を作らずに、義足を履き続けることだと私は思っています。 理学療法で義足を装着するための筋力を鍛えるのも、義足の自己管理方法を覚えるのも、義足と断端のフィッティングを合わせるのも、義足のアライメントを…

回復期の義足リハビリテーション

回復期の義足リハビリテーションでは何をするのか?目的は?についてまとめました。 目標とする移動能力の獲得 義足や断端の自己管理方法の習得 断端の成熟 退院後の生活確立、社会復帰への支援 回復期の義足リハビリテーションは、外来でもできなくはないで…

義足の自己管理②|断端の管理(2021年2月更新)

断端に傷はできていないか 断端に保湿剤は塗っているか 断端の汗はまめに拭いているか 断端袋でのフィッティングの調整はできているか 義足を装着し続ける上で最も大切なことは、断端に傷を作らずに義足を装着し続けることです。 断端に傷ができてその傷が深…

【義足処方例】両側下腿切断 超低活動K1レベル PTBカフベルト懸垂

最近の症例です。 高齢男性 両側下腿切断 切断原因:血管原性 低心機能(EF30%台) 活動レベル:K1 年齢や全身状態を考えると高望みはできませんでしたが、ご自身がどうしてもまた歩きたいと強く希望されて当院にいらっしゃいました。 この方の目標は自宅の…