この記事は主に義足に関わるドクター、看護師、理学療法士、義肢装具士向けです。
断端と義足のフィッティングはとても大切です。日々のフィッティング調整についてはこちらの記事を参考にしてください。
断端に傷ができた時には傷の処置をするとともに義足の適合(フィッティング)とアライメントを直すことが大切です。
しかしながら、気を付けていても断端に傷ができてしまう時はあるのでそういう時にどうやって傷の処置をすればいいのかという話になります。
靴ずれのようなちょっとした傷であればバンドエイドのような絆創膏で十分です。
もう少し傷が深ければハイドロサイト薄型のような創傷被覆材が効果的です。
傷の湿潤環境を保って早く治すタイプのものです。市販のものであればキズパワーパッドがあります。
これもかさばらない創傷被覆材なのでおすすめです。
もっと傷が深くなると浸出液を伴うので、それを吸うためにガーゼをあてたくなるのですが、義足を装着する場合はガーゼはやめた方がいいです。
なぜならガーゼをあててしまうと、義足のフィッティングが変わってしまうからです。
義足のソケットと断端のフィッティングはとてもデリケートなものです。靴よりもっとフィッティングはシビアです。
足先にガーゼをつけて靴を履くと相当靴が窮屈になるじゃないですか?義足のソケットはもともと隙間なくピタッと合うように型を取って作ってますので、ガーゼを当てて履いたときの影響はもっと大きいのです。
浸出液が多くてハイドロサイトやキズパワーパッドのようなものでは対応できない場合は、義足の装着時間を減らす等の対応をしなければなりません。
なので、傷は浅いうちに治すのが原則です。
皮膚のトラブルは傷以外にも汗疹のような湿疹ができたりすることがあります。シリコーンライナーを履いて足を蒸れた環境においておくと、傷もできやすくなるのですが、湿疹もできやすくなります。そのため患者さんには断端の皮膚に異常を感じたら、湿疹も傷も早めに皮膚科を受診することをオススメしています。
ここでまた注意点です。皮膚科を受診した時に湿疹でガーゼをあててもらうことは少ないですが、傷ができたときに軟膏を塗ってガーゼをあてて、という処置をしてもらうことが多いです。
全国の皮膚科のスタッフに義足のことを分かってもらうのはなかなか難しく、そのため患者さん自身で断端にはガーゼをあてないように自分で申告してもらう必要があります。もしガーゼしかない場合はできるだけ薄めにあててもらうようにしてください。
義足を履き続ける上でいちばん大切な点は、傷を作らないように義足を履き続けること、もし傷ができてしまった場合は早めに治すことです。
義足に関わる医療従事者の参考になれば幸いです。
義足ユーザーのみなさんがいつもいい状態で義足を履き続けられることを願っています。