義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

義足の自己管理②|断端の管理(2021年2月更新)

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義足を装着し続ける上で最も大切なことは、断端に傷を作らずに義足を装着し続けることです。

断端に傷ができてその傷が深くなってしまうと、義足の装着を中止しなければ傷が治らなくなるからです。特に糖尿病の方々は傷が治りにくいし、感染しやすいので致命傷になりかねません。

断端に傷を作らないようにするためには断端に合った義足を義肢装具士に作ってもらう必要があります。義肢装具士はここに全力で取り組んでいるはずです。

その上で患者さん側にも義足を履き続けるための努力が求められます。それが断端の管理であり、先日ブログにもアップしたシリコーンライナーの管理の話でもあります。 

gisokutogishu.hatenablog.com

断端に傷はできていないか

断端にがないか目で見てチェックしましょう。外傷や腫瘍で切断になった方々は傷ができれば痛いので見なくても気づきますが、糖尿病の方は痛みを感じにくく気づかないことも多いです。糖尿病で切断に至る方は神経障害を合併しているために感覚障害をきたしていることが多いからです。

できた傷に対して早めに対処することが大切です。

断端に保湿剤は塗っているか

保湿剤を塗ることを習慣化するとよいです。風呂上がりと朝の一日2回塗るのがいいと思います。洗顔した後に保湿剤を塗るのと同じです。

保湿することで断端を守る効果があります。皮膚に薄いバリアを作るというイメージです。糖尿病の方々は神経障害により汗をかきにくくなっていますので、それを補う意味でも有用です。適度な保湿が大切です。

私がよく処方しているのはヒルドイドです。ヒルドイドも色々ありますが、最近は泡状のものをよく処方しています。断端に塗りやすくてとても使いやすいです。同じく保湿剤でワセリンもありますが、ワセリンはベトベトしすぎるのであまり使っていません。

ヒルドイドフォーム0.3%のご紹介 製剤特徴と使い方 / 医療関係者向け情報 | マルホ株式会社

断端の汗はまめに拭いているか

シリコーンライナーを履いているとライナーの中でをかきます。断端が常に汗まみれだと汗疹などの湿疹ができやすいです。汗をまめにタオルで拭くことは仮義足の入院中から習慣づけましょう。

断端袋でのフィッティングの調整はできているか

義足は作りたてが一番フィットしていて履き心地がいいはずです。それがだんだん合わなくなってくるわけですが、合わなくなってくるのは断端が変化するからです。

断端の成熟が進んだり、ユーザーが太ったり痩せたり。ユーザーの体が変化するために合わなくなります。いつも義肢装具士がそばにいて義足を作り直してくれればいいですが、そうはいきません。

そのためユーザーが一人でいる時は自分で断端袋という靴下みたいなものを使ってフィッティングを調整します。ユーザーは、今日はきついな、ゆるいなと自分で判断して断端袋の枚数を自分で調整します。

www.tazawa.co.jp

 

今日ご紹介した断端の管理についての内容は実際に患者さんが義足を履き続けていく上でとても大切なことです。

切断患者さんに関わる医療従事者の方々におかれましては、この記事と

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に書いてあることをぜひ仮義足のための入院中に患者さんに指導していただければと思います。

良い習慣を作るには初めが肝心です。