回復期の義足リハビリテーションでは何をするのか?目的は?についてまとめました。
回復期の義足リハビリテーションは、外来でもできなくはないですが、できれば入院して取り組んだほうがいいです。
義足のリハビリというと、上に挙げた項目のうちの一番最初、移動能力の獲得といった理学療法のみをイメージするかもしれません。
たしかにそれも重要ですが、それだけが回復期の義足リハビリテーションではありません。
目標とする移動能力の獲得
義足という新しい足を身につけるためにはしっかり理学療法をする必要があります。下腿切断であれば義足側の、例えば大腿四頭筋、中殿筋、大殿筋あたりが重要ですが、体幹の筋力強化や他の様々な筋力強化も重要です。
義足側できれいに片足立ちできるくらいの体作りができれば、きれいに歩けるようになっていることが多いです。
義足や断端の自己管理方法の習得
とても大切なことです。これを習得してもらうのが外来診療の中だけでは難しいと感じています。
入院中に繰り返し指導することでその方法を身に着けていただきます。
内容は以下の記事に書きましたのでご覧いただければと思います。
断端の成熟
上の写真のように断端は時間とともに成熟といって、形が変わってきます(やせてきます)。
義肢装具士なら当たり前に知っていることですが、意外と知らない医療従事者も多いです。
義足の適合(フィッティング)に大きく影響するので、切断に関わる医療従事者にはぜひ覚えておいてほしいと思います。
断端の成熟は切断術後1年から1年半かけて進みます。
切断術後の初期の時期が一番変化が激しいです。
義足を装着して歩行訓練を開始すると、それに伴い断端の成熟も進んできます。
切断術直後に仮義足(訓練用仮義足)を完成させてしまうとどうなるでしょう?
すぐに合わなくなって次の義足が必要になります。
しかし仮義足は1個しか作れません。
それなら本義足を申請すれば?と考えますが、残念ながら本義足は申請してから作り始められるまでに1〜2ヶ月かかることが普通です。
つまり必要なときに義足が間に合いません。
これが仮義足を作るまでにある程度断端の成熟を進めておいた方がいい理由です。
入院中にできるだけ断端の成熟を進めて、入院の最後の方で仮義足を作りましょう。
退院後の生活確立、社会復帰への支援
特に低活動者では支援が必要になります。トイレどうするとか、お風呂どうするとか、台所周りをどう動くかとかそういったことです。ここは作業療法士が活躍します。
介護保険を導入することも多いです。糖尿病による切断だと3大合併症(網膜症、腎症、神経障害)を合併していることがほとんどなので、65歳未満でも介護保険が使えます。
自宅に手すりをつけたり、段差を解消したりと介護保険を利用してできることがあります。ここではリハスタッフに加えてMSW(ソーシャルワーカー)が活躍してくれます。
回復期の義足リハビリテーションが終了したら、次は外来フォローへと移行します。
仮義足のリハビリを実施した医療機関でフォローしてもらうのが理想ですが、それが難しければ仮義足を作ってくれた義肢装具製作会社に通うことになります。
制度上、本義足は病院ではなく、義姉装具製作会社のみで作ってもらって問題ありません。
義足はそのうち合わなくなるものなので、定期的に義肢装具士に見てもらうことが大切です。
2021年1月更新