義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

切断者が義足を装着し続けるためには断端に傷を作らないようにすることが大切

義足を装着する上で最も重要なことは断端に傷を作らずに、義足を履き続けることだと私は思っています。

理学療法で義足を装着するための筋力を鍛えるのも、義足の自己管理方法を覚えるのも、義足と断端のフィッティングを合わせるのも、義足のアライメントを整えるのも、すべて断端に傷を作らないようにするためにあると言っても寡言ではありません。

断端に傷ができた場合、軽症のうちはいいですが、重症化すると義足を履くのをやめなければ傷は治りません。考えてみてください。皆さん足に靴ずれができた時には一時的にその合わない靴を変えますよね。

切断者にとって義足を履けないことはとてもつらいことです。だからこそ、普段から断端に傷ができないように義足を装着する必要があります。できてしまった傷は早めに治す必要があります。

断端に傷ができる要因は患者側の要因と義足側の要因の2つに分けて考えるといいと思います。

f:id:gisokutogishu:20200708225802p:plain

糖尿病やASOなどが原因で切断に至った方は傷が治りにくいし、できやすいです。

いびつな形状の断端はライナーやソケットとのフィッティングも得られにくいので、水疱などの傷ができやすいです。

糖尿病のコントロール、体重をできるだけ一定に保つようにするなど自ら気をつけていない方は義足のフィッティングが悪くなりやすく、断端に傷を作りやすいです。

義足は医療者だけが頑張るのではなく、ユーザーもうまく履き続けるための努力をする必要があります。

 

義足側から見た要因としてはシリコーンライナーの装着不良 (以下のリンク参照)

gisokutogishu.hatenablog.com

や、断端と義足との不適合(フィッティング不良)があります。

フィッティングの調整は、ユーザー自身は断端袋で調整しますが、義肢装具士はソケットを一部加熱して広げたり、ソケット内にパッドを貼ったりして対応します。それでもダメならソケットの作り直しが必要です。

さらに、アライメントの調整も重要です。アライメントというのはソケットと足部の位置関係のことを言います。現在主流の骨格構造義足では角度調整が可能なので、アライメントを微調整することが可能です。アライメントが悪いとうまく歩けませんし、断端にも負担がかかってしまいます。アライメントの調整は主に義肢装具士が行います。

 

上の画像の中に挙げた1-3と①-③の中でどうしようもないのは1,2の2つだけです。残りはユーザー自身と義肢装具士、医師、理学療法士等の医療従事者でなんとかできるものです。

できるだけ多くの切断者がいつも安全に義足を装着し続けられることを願っています。