義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

下腿義足のアライメント調整

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下腿義足のアライメント

義足のアライメントには、義足のみを立たせてみた時のアライメント(ベンチアライメント)、患者さんが装着して立ってみた時のアライメント(スタティックアライメント)、歩いた時のアライメント(ダイナミックアライメント)の3パターンがあります。

ベンチ、スタティックと順番に見ていき、最終的にダイナミックアライメントが適切になっていることが大切です。適切というのは、健常者の生理的なアライメントに近づいていることを言います。

前額面

前額面は義足を正面から見て評価します。

角度(傾き)は内転角と外転角を見ます。

教科書的には内転角5度とされていますが、O脚の場合はさらに内転角をつけるようにし、逆にX脚の場合は外転角をつけるようにします。

矢状面

矢状面のアライメントは義足を横から見て評価します。

教科書的には体重支持に有利という理由と、膝伸展筋の効率を上げる目的で初期屈曲角を5度つけるとされています。膝関節の屈曲拘縮がある場合は初期屈曲角をもっとつけます。

初期屈曲角とソケットの前後方向の取り付け位置が大切です。膝蓋腱レベルでソケット前後径の中点から床に対して引いた垂線が足部のトゥブレイクと踵の中間点に落ちる位置になる、もっと簡単に言うと自然に立ってみて踵が浮かない初期屈曲角とソケットの取り付け位置を目指します。

水平面

水平面のアライメントは義足を上からのぞき込んで評価します。

足部の取り付け位置、トゥーアウト(外旋)かトゥーイン(内旋)かニュートラルかを見ます。

足部がもともと持っている性能を引き出すために、足部はニュートラルな位置に取り付けることをオススメします。

股関節の使い方がポイントで、ガニ股歩き(股関節を外旋させた歩き)だったひとはガニ股を直して足を真っ直ぐ振れるようにしたほうがよいです。少なくとも仮義足リハのうちは。

これはソケットが断端に余計な負荷を与えないようにするためでもあります。

実際の例

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アライメント調整の例

分かりやすくするために極端なアライメントにしています。

膝が外反(X脚)している方であればこのような調整になります。

 

医療従事者が義足を理解する上で「アライメント」を理解するのが一つのハードルになっていると思います。

私の場合、最初教科書だけ読んで理解しようとしていたのですが、正直よく分かりませんでした。

義足のアライメントは実際に患者さんが義足を装着して歩くところを見ながら学んでいくのが最も効果的です。

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最終更新:2021年4月5日