義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

義足リハにおけるレントゲン検査の活用法

義足リハにおけるレントゲン検査の活用方法を紹介します。

断端のレントゲンではなく、義足を装着した状態でのレントゲンです。

今回は下腿義足の場合です。

下腿義足を装着した状態でレントゲンを撮ると分かることが2つあります。

アライメント

一つはアライメントです。

アライメントは荷重線がミクリッツ線を通るように設定するのが理想なので、レントゲンを見ることでアライメント調整の参考になります。

gisokutogishu.hatenablog.com

ミクリッツ線は以下の記事の解説が詳しいです。
(5)関節の変形と痛み | 酒井医療株式会社

義足長

もう一つは義足長です。

義足の場合、足の長さは通常、両側の上前腸骨棘もしくは腸骨翼の上縁を両手で触れることで確かめているはずです。

患者さんに「長さどうですか?」と聞いて確かめている義肢装具士理学療法士もいるかもしれません。しかし、患者さんに聞いてみても、長さが合っているかどうか正しく判断するのは難しいです。なぜなら患者さんにとっては義足を装着するという体験が生まれて初めてのことだからです。

レントゲンを撮ると脚長差がよく分かります。

こんな一般的ではない撮影オーダをどうしているかというと、私はレントゲン技師さんに「両足に均等に荷重をかけて、靴を履いたまま、上前腸骨棘まで含めて、撮影してください」とオーダーしています。撮影には今のところ私か理学療法士が立ち会っています。

以下の写真は下腿義足の立位レントゲン写真です。この写真を見て気づくことはありますでしょうか?

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上の方が切れているのでアライメントの評価はできませんね。

長さはどうでしょうか?

はい。膝の位置を見てみてください。膝の高さが違うことが分かると思います。

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計測すると約1cm違いましたので、その場で1cmの差高板を入れて再度撮影したところ右の写真のように脚長差が補正されました。

この結果を元に、この方の義足は義足長を1cm延長しています。

義足リハにおけるレントゲン検査の活用法の紹介でした。参考になれば。