義足
大腿義足の懸垂方法の一つであるキス懸垂について解説します。 キス懸垂は懸垂方法の形式としてはピンロック式と同じ遠位固定型に分類されます。 キスはKeep it simple suspensionの頭文字を取ったものです KISS-Suspension KISS-Suspension prosthetic limb…
大腿義足の人がパラリンピックに出る場合、クラス分けでT63に分類されます。 このT63というクラスは大腿切断の他に、膝離断や股離断の選手も含まれます。 https://jaafd.org/pdf/top/classwake_qa_rr.pdf パラスポーツのクラス分けはどこかで線引きしないと…
超低活動(K1レベル)の大腿切断かつ下腿切断者の義足です。 もともと左下腿切断のみだったのですが、今回、病期の進行により反対側の足が大腿切断となりました。 全身の身体機能低下が著しく、介助で立位をとらせられれば上出来というレベルでした。糖尿病…
タイトル分かりにくくてすみません。 以下のような状況を想像してみてください。 もともと大腿義足の仮義足を1年前に作りました。 それから1年経って今度は左下腿切断術を受けることになり、両下肢切断の状態となりました。 新たに下腿義足が必要になり、下…
今日のテーマは超低活動者*1の両下肢切断の場合、どのような足部が適切なのかというものです。 超低活動者は糖尿病やASO(閉塞性動脈硬化症)を合併していてなおかつ高齢であるという不利な条件が揃っていることが多いです。 両下腿切断ならまだしも、右は大…
コンピュータ制御膝継手Geniumジニウムのイールディング機構が膝折れを防いでくれている様子です。 youtu.be 何がすごいのか分かりづらいかもしれませんね。 イールディングが効いて膝がジワッと曲がるために、反対側の右足を付く時間があり、膝折れによる転…
あいかわらず義足ユーザーの体重管理は義足を快適に履き続けるために大切だなあと思うことが多いので記事にしておきたいと思います。 義足ユーザーの断端は体重の影響を大きく受けます。 体重が増えれば断端は大きくなるし、体重が減れば断端は小さくなりま…
例えば内反膝や外反膝のように下肢のアライメントに変形を伴っている方で、ピンロック式の懸垂を選択される場合はスライダーというパーツを入れることをおすすめしています。 その理由の説明になるであろう単純X線写真を共有します。 本来シリコーンライナー…
大腿義足の処方例です。仮義足です。 切断原因:糖尿病 神経障害合併 視力障害合併 健側に糖尿病足変形あり 活動レベル:K2〜3レベル 活動レベルは微妙で、まだ若いので本来K3レベル相当なのですが、合併症がいろいろあるためにK2レベルとも考えられます。 …
骨直結型義足とは 骨直結型義足のメリット 骨直結型義足のデメリット 骨直結型義足とは 骨直結(Osseointegration)というのは、切断術後の断端の骨の中にインプラントを挿入し、そこに義足を接続することを指します。このような義足のことを骨直結型義足(O…
70代女性 活動レベル:K3 長断端(70%) 断端が長い場合に困ることは2つあります。 1つ目は足部パーツを設置するスペースが狭いということです。選択できる足部パーツが限られてしまいます。 この症例のように低床足部しか入らなくなります。 2つ目はアライ…
認知症は義足の適応を難しくする要因の一つです。 なぜなら義足を自分で管理する(自己管理)ことができなくなるからです。 ライナーをいつも正しく装着するとか、義足の向きを間違わずに履くとか、認知症の方を見たことがない人には想像がつかないような問…
仮義足処方例 両下腿切断 上肢切断も合併 活動レベル:K3 しばらく前の症例です。 上肢切断に対しては能動義手(仮義手)を処方しています。 このような症例の懸垂方法はピンロック式がいいでしょう。 PTBカフベルト懸垂はベルトを手で留めねばならず、上肢…
サイバスロンという義肢を装着した状態で日常生活のパフォーマンスを競う大会がスイスで行われました。 この大会は義肢部門だけでなく電動車いすやブレイン・マシン・インターフェース部門もあります。 最先端の技術がヒトの生活にどれくらい役立てるかを競…
義足ユーザー(切断者)は自身の体重を管理しておくことが大切です。 なぜかと言うと、体重が断端の大きさを間接的に示す数少ない指標の一つだからです。 断端の大きさはソケットとのフィッティング(適合)に影響します。 私の感覚では2〜3kgくらいの増減な…
リハビリに使う平行棒は各社から販売されていますが、義足リハに適した平行棒とはどんなものなのでしょうか? まず義足で歩く場合、義足が地面に擦ってしまわないように気をつける必要があります。 特に大腿義足でこれは大切なことです。 大腿義足歩行では、…
80代男性 糖尿病合併 Kレベル:K1 目標移動能力:屋内をピックアップ歩行器を使って義足歩行自立 義足の着脱を自立することやシリコーンライナーの管理を自立することもリハビリの大きな目標の一つでした。 約3ヶ月で目標を達成して退院されました。 1D10ダ…
世の中で一番よく使われているのはピンロック懸垂という懸垂方法ですが、低活動下腿切断者はPTBカフベルト懸垂の方が安全と考えています。 その理由は、低活動の糖尿病患者さんはピンの向きを適切に合わせる、ライナーの先端空気を入れないようにライナーを…
糖尿病を原因とした切断者の断端は、皮膚が弱いから特別柔らかい素材のライナーにした方がよい!?といった話を聞くことがあるのですが、これは違うと私は思っています。 皮膚そのものが弱いというわけではなく、皮膚に感覚障害を伴っているため痛みを感じに…
切断術後の仮義足リハビリテーションではソフトドレッシングといって、断端を適度な圧で圧迫するという治療が行われます。 目的は断端の成熟(腫れを引かせる)を進めるためです。 今年の5月にこちらに記事にしました。 gisokutogishu.hatenablog.com この時…
私は自分が処方した義肢・装具は義肢装具士さんにお願いして見積もりを確認させてもらうようにしています。 それを見るとなかなか厳しい現実が見えてきて、義足のチェックソケットを何度も作り直すようなお願いはできないなと思います。何回作ってもチェック…
下腿切断の切断部位について。どのレベルで切断するのが理想なのか義足のリハビリを担当する医師の立場で書きたいと思います。 下腿切断の切断レベル ※ 上の図は骨の切断レベルです。これに軟部組織の分を加えると、実際にはこれより長い断端になるのでご注…
サイム切断とは サイム切断のメリット 断端長が長いため、てこの作用により正常に近い歩行能力をもつ→× 断端末端部が膨隆しているためソケットの懸垂が容易である→× 断端の状態が安定している→× 断端に荷重性がある→○ サイム切断のデメリット 断端末端部の膨…
サイム切断 サイム切断のキャストソケット サイム切断ではチェックソケットを作ることができない キャストソケットを作った時の注意点 サイム切断の仮義足 サイム切断 サイム切断 https://link.springer.com/article/10.1007/s00402-003-0622-9/figures/3 サ…
義肢(義足・義手)の歴史は古く、それこそ紀元前から義足は使われてきました。*1*2 それなのに、義肢医療の分野はそこまで進歩していません。 昔は足に大きな怪我を負ったり、感染症を発症したりしたら、足を切らざるを得ませんでした。 近年の医学の進歩に…
義足リハビリテーションの難易度は 下腿切断<大腿切断<<両側大腿切断 という感じで両側大腿切断の難易度はかなり高いです。 ただでさえ大腿切断は難しいのに、両側になるとその難しさは倍以上です。 リハビリの進め方にも特殊な戦略が求められます。 Yout…
メリディウムはコンピュータで足関節の動きを制御してくれる足部です(細かく言うとMP関節も動きます)。 www.ottobock.co.jp 通常の義足の足部パーツは歩行時に足関節は動きません。 動いているように見えるのは、内部にあるカーボンファイバーのたわみ(し…
仮義足です。 大腿義足 高齢女性 超低活動(K1レベル) この方のリハビリテーションの目標は義足を活用して屋内歩行とADL自立を確立することでした。 gisokutogishu.hatenablog.com 懸垂方法はキスキット懸垂にしました。 健側下肢の筋力が弱いこと、ピン式…
義足の欠点の一つに「ねじれの動き(内外旋の動き)」が再現できていないということがあります。 人間の身体では主に足関節や股関節がねじれの動きに対応してくれています。 義足の足部パーツではカーボンファイバーの素材がねじれの動きに少しは対応してく…
下腿義足のアライメント 義足のアライメントには、義足のみを立たせてみた時のアライメント(ベンチアライメント)、患者さんが装着して立ってみた時のアライメント(スタティックアライメント)、歩いた時のアライメント(ダイナミックアライメント)の3パ…