義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

回復期リハビリ病棟退院後の義足ユーザーの外来フォローについて

今日は主に義肢装具士さん向けに記事を書きました。若いリハ医の先生方にも参考にしてもらえると嬉しいです。

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外来フォロー

回復期の義足リハビリテーションが終了して退院したら、次は外来フォローです。

義足は一回作れば終わりというものではありません。装着しているとだんだん時間とともに劣化しますし、何より切断者の身体が変化することで断端が痩せてきたり(太ったり)して、義足が合わなくなります。

そのため定期的な外来フォローが必要です。

現在の医療制度では必ずしも病院でフォローする仕組みにはなっていません(病院に通院しなくても本義足は作れます)。

実際、退院後は義足を作った義肢装具士が所属する義肢装具製作所に通うことが多いと思います。義肢装具士が定期的にフォローができれば、私はそれでもいいと思っています。

しかしユーザーをフォローするタイミングは、何か困ったことがあったら、ではなく、定期的にの方がいいです。断端に深手を負ってしまう前にまめにフィッティング調整をすることが大切です。その方がユーザーも安心ですし、作り手である義肢装具士も慌てることなく次の義足を作ることができます。

義肢装具士は定期的にフォローする中でいよいよソケットが合わなくなってきたら、ユーザーに本義足の申請を促します。

義肢装具士は基本的に義足を作らないと利益を得ることはできません。つまり、定期的に見るだけではその時はあまり利益になりません。しかし、長期的には何度も義足を作り直すことで義肢装具士側にも利益をもたらしますので、目先の利益のとらわれず定期的にフォローしてもらえればと思います。何より義足ユーザーのためです。

通院(通所)の頻度は上の画像に書いたとおり、仮義足の場合は1〜2ヶ月に1回、本義足なら3〜4ヶ月に1回くらいでいいと思います。

退院後、義足ユーザーの何を見るかは

  1. 断端の傷の有無
  2. 体重
  3. 断端末4cmの周径
  4. フィッティング(断端袋の枚数)
  5. 義足のアライメント
  6. 歩容

の6つです。

体重は必ず数字で答えてもらうようにしましょう。義足を履いた状態で体重計に乗って計測してもらい、後から義足の重さを引けばいいだけです。前回診察したときの体重も義肢装具士のカルテに残しておくといいです。

面倒くさがらずに下腿切断でも大腿切断でも断端末4cmの周径を測るようにしましょう。ライナーの適正サイズのチェックはとても大切です。

フィティングや義足のアライメント、歩容は義肢装具士なら必ずチェックしていることと思います。

 

以上、義足ユーザーの外来フォローについてでした。参考にしていただければ幸いです。