義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

【義足処方例】下腿切断 K2レベル ピンロック懸垂

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下腿義足

仮義足です。

  • 男性
  • 糖尿病合併
  • 慢性腎不全で透析中
  • 短断端
  • K2レベル*1

断端が短いと義足を装着して歩いた時に膝関節がグラグラと動揺しやすいです。一つの対策としてKBMっぽく側壁を高くしてソケットの拘束性を高める方法があります。これにより歩いた時の膝関節の動揺を抑えます。

懸垂方法はピンロック式です。この患者さんの場合、はじめキャストソケットではカフベルトにしていましたが、ピンロック式でも問題なさそうなことが分かったので途中からピンロック式に変更しました。

スライダーを入れて前額面のアライメントを取りやすくしています。下腿切断の場合、断端が短いと膝関節が外反してきやすいので、それに伴いソケットを外転させることが多いです。この時、荷重線がきちんと足部に落ちるように合わせるために、スライダーを使い、足部をソケットに対して内側にセットする、というようなことをします。すみません、だいぶマニアックでした。

リハビリ中に使う義足にはスライダーを入れておくといいですよ。角度で調整するだけでなく前後左右に動かしてアライメントを調整できるようになるからです。リハビリ中はよくアライメントを変更するのでスライダーは重宝します。

足部は低〜中活動者向けのトライアス(義足足部:1C30トライアス | Ottobock JP)という足部です。

退院時は最終的に、杖をつきながらですが、電車の乗り降りもできるようになりました。

この方の場合、糖尿病による神経障害の影響が強かったために杖が必要でした。糖尿病神経障害が重度だと、バランスをとることが難しくなるためです。

糖尿病を原因に切断に至るような患者さんでは、神経障害の有無を評価することはとても大切です。