急性期というのは手術が終わってすぐの時期を言います。
義足を希望する場合、通常は急性期病院の次に回復期リハビリテーション病院やリハビリテーションセンターに転院することになります。それまでの期間が急性期です。
急性期病院では断端部の創治癒と全身状態の安定化が最も優先すべき課題です。たとえば糖尿病、尿路感染症、肺炎などの合併症があればそれも治療してしっかりリハビリに取り組める状態にする必要があります。
この時期にリハとして取り組むことは上の写真で挙げたように、
- 基礎体力づくり
- 断端管理(ソフトドレッシング)
- 義足なしでの歩行訓練
です。
ソフトドレッシングは断端を成熟させる(腫れを引かせる)ために必要な治療ですが、急性期病院ではあまりやりすぎなくていいです。やりすぎると創部の治癒を遅らせます。
うまく巻けるのであれば弾性包帯でもいいのですが、自信がなければスタンプシュリンカー(弾性ストッキングみたいなもの)を使った方がいいです。
創部の抜糸が済むまではシリコーンライナーは使わないでください。スタンプシュリンカーは断端のサイズに合わせたものを選ぶのでほどほどの圧迫が得られ、通気性も問題ないです。
義足がない状態での歩行訓練ですが、糖尿病を原因として切断になった方々には松葉杖歩行訓練はしないでください。歩行器歩行訓練までにしてください。
糖尿病を原因に切断に至った方々は高率に健側(残った方の足)に足変形をきたしています。そのため足底に胼胝ができやすく、そこに負担をかけすぎると上の写真のように内出血して、その後潰瘍化します。
糖尿病で足変形をきたすメカニズムについての解説はこちらの記事を参考にしてください。
糖尿病足は感覚障害も伴っているので、バランスも悪くなっています。松葉杖は点で支持する歩行補助具なので、バランスの悪い人には向きません。
外傷が原因で切断に至ったような若い方は松葉杖で問題ないです。
現在私は主に患者さんの転院をお引き受けする立場ですが、急性期病院のスタッフの皆さんとはうまく情報共有してスムーズに切断患者さんの義足リハをつなげていきたいと考えています。
私から急性期病院の切断に関わる医療スタッフの方々に特にお願いしたいことは
- ほどほどなソフトドレッシング(できればスタンプシュリンカーを使ってください)
- 糖尿病を原因として切断となった患者さんに松葉杖歩行訓練はせず歩行器歩行訓練までにしてください
です。
これを読んでくださっている急性期病院の方がいらっしゃいましたらどうぞよろしくお願いいたします。