義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

下肢切断術後の義足適応の考え方(2021年6月更新)

義足の適応について聞かれることがあるので、この記事にまとめてみました。

基本的に私はできるだけ多くの下肢切断者に義足を処方したいと考えています。

とはいえ、これは厳しい…と言わざるを得ない場合があるのも事実です。

急性期病院であれば切断の患者さんをリハビリ病院に紹介する時に、回復期リハ病院であれば受け入れる時の参考にしていただければと思います。 

一般的には下の画像に挙げられたような条件は義足に不利だと言われています。

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これらのうちのいくつかはリハ医の入院管理やリハビリテーション理学療法作業療法)の工夫でなんとかなると思っています。

しかし、この中でさすがにこれは厳しいとお断りしている条件は以下のようなものになります。

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義足は傷ができないように自分で管理(義足の自己管理)して履くことができなければいけません。

認知症があると自分で安全に義足を履き続けることができないので、義足の適応から外れてきます。ただし、いつも面倒を見てくれる家族が近くにいるのであれば、義足を処方する場合もあります。

意欲が低下しているとリハビリが進みませんので、義足の適応から外れます。

断端に感染があると義足を装着することができませんので、義足の適応から外れます。まずは感染を治療してからです。糖尿病の患者さんは健側の下肢に感染がある場合もあるので要注意です。

この他、全盲の場合も義足の適応から外れます。これも義足の自己管理ができないからです。正しい装着方法で履いて、シリコーンライナーの手入れもできないと安全に義足を使うことはできません。

というわけで、以下が私の考える義足の適応になります。

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多くの下肢切断者が義足の適応になります。

リハ医、整形外科医、形成外科医のみなさんはできるだけ患者さんに義足を装着するチャンスを与えてあげてください。

糖尿病やASO(閉塞性動脈硬化症)などで切断に至った方のうち一部は合併症により義足の適応にならない場合があるので注意してください。

(2021年6月更新)