義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

義肢(義足・義手)の勉強法と教科書

この記事は義肢に関わる若手リハ医や整形外科医向けです。

以前twitterで、義足や義手について教えてくれる先輩ドクターがいなくて苦労したみたいなことをつぶやきました。

実際、義肢(義足・義手)の分野は教科書だけ読んでいてもよく分からないと思います。私の場合はそうでした。教科書を読むことで整形外科やリハビリテーションの専門医の試験をパスするくらいの知識は身についても、臨床で活かせるような知識が身につくかというと怪しいです。

実際に患者さんを見ながら教科書を読んで勉強していくほうが遥かに理解が深まりますし、生きた知識が身につくので臨床で役に立ちます。

しかし、切断の患者さんは他の疾患に比べて人数が少ないので勉強する機会が限られていてなかなか理解が深まらないのが現実だと思います。どこのリハ病院でも切断のリハビリテーションを経験できるわけではないんです。なので、きちんと勉強しようと思ったら切断患者の症例数が多い病院に一定期間研修に行くのが一番効果的です。

 

勉強するにあたって私が使ってきた教科書を紹介します。この分野そんなにたくさんの教科書はないので、選択肢は限られています。

まずは「義肢装具のチェックポイント」という教科書です。日本リハビリテーション医学会と日本整形外科学会が監修していて概ね信頼できる内容だと思います。何か一冊と言われたらこの教科書です。イラストや写真がもっと多いと初学者にとって分かりやすくていいのにと思います。若手リハ医はぜひこの本を手に入れておきましょう。

義肢装具のチェックポイント 第8版

義肢装具のチェックポイント 第8版

 

 私の場合は他にも

義肢学 第3版

義肢学 第3版

  • 発売日: 2015/06/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

切断と義肢第2版

切断と義肢第2版

  • 作者:澤村 誠志
  • 発売日: 2016/02/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

も購入してそれぞれを読み比べていますが、多くの方は「義肢装具のチェックポイント」で十分だと思います。

「義肢学」はどちらかというと義肢装具士向けの内容になっています。

「切断と義肢」は下肢切断から上肢切断まで兵庫県リハビリテーション中央病院での豊富な経験を踏まえて書かれた教科書になっています。「切断と義肢」の著者の澤村先生は義肢の分野ではレジェンド級の先生です。もうだいぶお年を召されていますが、去年の義肢装具学会で私は一度だけお会いしました。

他にも以下のような海外の教科書を持っていたりもします。全部で3冊あって、AAOSというアメリカの整形外科学会が発刊しています。

海外の教科書を見てみると、日本の義肢の分野は海外よりも遅れていることに気づきます。 この分野は国内だけ見ていると視野が狭くなるので、世界の動向も見ておいたほうがいいと思っています。