糖尿病は下肢切断の原因の一つです。
なぜ糖尿病で下肢切断に至るのか?
NEJM論文Diabetic Foot Ulcers and Their Recurrenceの以下の図が大変分かりやすかったのでご紹介します。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1615439
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1615439
① 糖尿病が悪化
②-1 神経障害により足が変形する
②-2 感覚障害のため痛みが分からず、傷ができやすい
②-3 自律神経障害も合併するので汗をかかなくなる。ドライスキンは傷ができやすい
③ 胼胝ができる
④ 胼胝の下に皮下出血ができる
⑤ 皮下出血が潰瘍(えぐれた傷)になる
という流れで足潰瘍ができるということです。
これは私が臨床で糖尿病の切断患者さんたちを見ていても本当にそうだなあと思います。
足の裏に胼胝ができていたら皮膚科で早めに治療してもらいつつ、胼胝を再発させないようにインソール(足底装具)を作りましょう。
この文献では以下箇条書きしたようなことがまとめられています。
発症率
- 糖尿病患者の15〜25%が一生のうちに足潰瘍を生じている。また、糖尿病患者の19%〜34%が足潰瘍予備軍とされている。
死亡率
- 足潰瘍を合併した糖尿病患者の5年後の死亡リスクは、足潰瘍がない糖尿病患者に比べ2.5倍である。
- 全糖尿病患者のうち、糖尿病に関連して切断に至った患者の死亡率は5年で70%を超える。透析患者に至っては2年で74%を超える。
再発率
- 19編の論文レビューによると、糖尿病足潰瘍の再発率は、治癒後1年以内が約40%、3年以内が約60%、5年以内が約65%と計算された。
- 再発のリスク因子は振動覚といった深部感覚が障害されている、以前に潰瘍を生じたことがある、末梢動脈疾患があるといったことが挙げられる。
また、足潰瘍再発予防に重要なこととして
- 糖尿病の良好なコントロール
- 1〜3ヶ月に1回の専門的なフットケア
- 潰瘍のある部位を除圧できるような足に合った装具や靴を使うこと
- チームアプローチによる教育は推奨された治療のアドヒアランスを良くするのに役立つ
- 総合的なケアには看護師や義肢装具士、皮膚科医、足病医、血管外科医、整形外科医といった多職種連携も重要
ちなみに潰瘍の治療では徹底的な除圧が最も重要です。
足底にできた足潰瘍をフェルトで除圧して治すという治療法は当院でもやっています。きちんと免荷できると潰瘍は治ります。
医療職皆で協力して糖尿病足病変を救っていければいいですよね。
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