義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

能動義手の伝達効率

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初めて能動義手を作るとき、能動仮義手のリハビリ(作業療法)をする時は、能動義手を装着して動かし始める前に、必ず伝達効率を測定するようにしましょう。

伝達効率とは何でしょうか?

伝達効率は装着者が能動義手に伝えた力がどれくらいの割合で手先具に伝わっているかを数値で示したものです。これは義手そのものの性能を示す指標になります。

上の画像をご覧ください。

伝達効率は手先具単体で開くときの力を、ケーブルシステムを介して開くときの力で割って算出します。

式で書くと、

伝達効率(%)=(手先具単体で開くときの力)/(ケーブルを介して開くときの力)×100

となります。

計測にはばね秤を用います。 

この数値が高いほど簡単に能動義手が開くということです。数値が高いほど優れた能動義手ということになります。

伝達効率の数値が高ければ高いほど患者さんは楽に手先具を開くことができるので、この数値は義手の使い勝手に大きく関わってきます。効率の悪い能動義手を患者さんに使わせると、無駄に患者さんの負担を増やしてしまい、疲れるだけで使えない義手という印象を持たれてしまいます。

伝達効率はケーブルの走路ベースプレートの位置により決まります。最初の能動仮義手のリハビリの時には義肢装具士だけでなく、作業療法士も関わって伝達効率がよくなるような能動義手を作ることが大切です。伝達効率を計測するプロセスは作業療法士の能動義手に対する理解を深めます。

伝達効率の具体的な数値としては、前腕の能動義手であれば80を超えるように義肢装具士(と作業療法士)に製作してもらうのが理想です。

上腕能動義手でも同じように伝達効率を測るようにしたほうがいいのですが、上腕能動義手は前腕能動義手に比べるとどうしても効率が落ちるので、上腕能動義手の伝達効率は70以上が適正だと私は考えています。

以下の教科書には前腕の能動義手なら伝達効率70%以上を、上腕なら50%以上をと書いてありますが、もっと上を目指せると思います。

義肢装具士作業療法士で協力しあってぜひ患者さんに負担の少ない効率のよい能動義手を作ってあげてください。

義肢装具のチェックポイント 第8版

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