膝継手パーツは各社からいろんなパーツが販売されており、選択肢が多すぎて何を選べばよいか分からない方も多いのではないかと思います。
試してみるといっても時間に限りがあります。
そこで、今回は活動レベル毎にここから選んでおけばだいたい間違いないというパーツを紹介したいと思います。
どれも実際に私が病院で処方して問題なかったパーツたちです。今も私はこの中から選択して処方しています。
低活動〜中活動〜高活動レベル(K2〜K4 )
まず初めに低活動〜中活動〜高活動レベル(K2〜K4 )の方で遊動膝継手(歩いているときに動く膝)でもいけそう、いけるかもしれない方は3R106(オットーボック社)で義足歩行訓練をスタートします。
義足膝継手:3R106 多軸空圧膝継手 | Ottobock JP
3R106は比較的軽く、多軸で安定性が高く、値段も安めなので多くの方に適応があります。空圧制御です。
しばらく3R106でリハビリを進めてそのまま退院される方もいますし、もう少し安定性の高い多軸の膝継手が必要という方はトータルニー(オズール社)に移行します。
トータルニー 2000(完成用部品) | オズール製品・ソリューションカタログ
トータルニーは多軸であるという特徴に加えて、スタンスフレックス機能(いわゆるバウンシング機構)が付いていて足をついたときの衝撃を吸収してくれます。油圧制御です。
遊動膝継手を使う方で時々膝継手をロックさせたいというニーズがある方にはNK-6(ナブテスコ社)という膝継手を処方しています。
https://welfare.nabtesco.com/pdf/nk_6.pdf
NK-6は多軸でバウンシング機構がついていて、ロックして固定膝にもできる膝継手です。
高活動(K4)
高活動(K4)な方だとイールディング機構がついている3R80を処方することも多いです。
義足膝継手:3R80 ロータリー油圧膝継手 防水加工 | Ottobock JP
3R80はイールディング機構がついていて、うまく体重をかけるとジワッと曲がってくれるので、階段を一足一段で下りられます。トータルニーではこれはできません。
超低活動〜低活動(K1〜K2)
超低活動〜低活動(K1〜K2)の大腿切断者では、はじめから最後まで固定膝継手という場合もよくあります。
義足で歩行する際に大事なことは転倒せずに安全に歩くことです。低活動者は骨粗鬆症を合併していることも多く、転倒して骨折するリスクも高いです。
そのため、膝継手パーツは安全性を重視して選択したほうがいいです。
固定膝継手でよく処方するのは3R41(オットーボック社)です。http://www.p.ottobock.jp/pdf/cat_3r41.pdf
最近はこれ(3R31 シッティングアシスト付固定膝)を処方することが多くなっています。座る時にゆっくり座れるのは超低活動者とって大きなメリットです。
コンピュータ制御膝継手
コンピュータ制御膝継手を仮義足リハの中で使うこともあります。
労災の方は本義足でコンピュータ制御膝継手を支給してもらえることが多いです。そのため仮義足のリハビリ入院中に本義足を見越して、適応のある方はコンピュータ制御膝継手の訓練もしておくことがあります。
コンピュータ制御膝継手であれば以下の3つから選ぶといいです。
実際に労災から支給を受ける前に、それぞれを試してみたほうがいいと思います。
今回は仮義足の大腿義足リハで使える膝継手を紹介しました。
活動レベル毎に選ぶ、というのがポイントです。
ここで紹介した膝継手パーツはあくまで一例です。仮義足リハはこれらを使わなければできないわけではありません。
リハビリをする施設によって考え方の違いもあるでしょう。
しかし、この中から選んでいればおおむね基本から外れることなくリハを進めることができると思います。
参考にしていただければ幸いです。
足部パーツについてはこちらを参考にしていただければと思います。
(2021/10 更新)