義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

超低活動の両下肢切断に適した足部とは?

今日のテーマは超低活動者*1の両下肢切断の場合、どのような足部が適切なのかというものです。

超低活動者は糖尿病やASO(閉塞性動脈硬化症)を合併していてなおかつ高齢であるという不利な条件が揃っていることが多いです。

両下腿切断ならまだしも、右は大腿切断で左は下腿切断みたいなパターンもあります。

超低活動者の場合、両下腿切断ならまだ歩き回ることに望みがあるのですが、片側は下腿切断でもう片側は大腿切断となると、義足歩行を外出時のメインの移動手段とするのは難しいです。

そのような方々は義足を装着し、自宅内をピックアップ歩行器を併用しながら歩く外出は車椅子でというパターンになることが多いです。

超低活動者の義足は足元の安定性が大切です。

筋力だけでなく、重度の糖尿病のためバランスの障害も著明な場合が多いからです。

その場合に気をつけなければいけないのは足部の選択です。

できるだけ安定性が高いものを選んだほうがいいです。

板バネの性能でしなる足部より、サッチフットや単軸フットのような安定性が高い足部をおすすめします

私がよく処方する足部は単軸フットやサッチフットです。

テリオンソフトのような低活動者用足部もあるのですが、安定性の点から両下肢切断の超低活動者にはあまりおすすめしません。

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単軸フットとテリオンソフトを比較した動画をお示しします。

youtu.be

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テリオンソフトはエネルギー蓄積型なので前後左右に不安定なのに加えて、フットカバーと中身の内部構造との間にも遊びがあり、単軸フットに比べると不安定です。

そのため超低活動の両下肢切断者では単軸フットやサッチフットのような歩くのにはあまり適していないけれども、安定性は高いような足部が適していると考えています。

これだけが答えではありませんが、医師、理学療法士義肢装具士の皆さまの参考になれば幸いです。