義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

両下肢切断者が仮義足リハ入院中に、もう片方の本義足作り直しが必要になった時、どのように対応したかという話

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タイトル分かりにくくてすみません。

以下のような状況を想像してみてください。

もともと大腿義足の仮義足を1年前に作りました。

それから1年経って今度は左下腿切断術を受けることになり、両下肢切断の状態となりました。

新たに下腿義足が必要になり、下腿義足の仮義足を作るために入院してリハビリテーションを行うことになりました。

両下肢に義足を装着してリハビリを進めたいところですが、右の大腿義足(仮義足)は1年経っており合わなくなっていて、作り直しが必要な状況になってしまっています。

 

このような状況の時、どうすればよいのでしょうか?

 

入院中ではありますが、大腿義足の本義足を役所に申請するしかありません。

入院中の場合、外出が自由にできないのが困ったところです。特に新柄コロナウイルスが流行してからはできるだけ外出を自粛することが病院からも求められています。

事情を話すと、役所の担当者の方も状況を分かってくれて、都道府県に掛け合ってくれましたが、都道府県の回答は基本的に来所してもらわないと支給の許可はできませんとの返答でした。

本義足の申請とその許可は住んでいる市区町村と都道府県の二段構えで行われます。

来所してくださいと言われても両下肢切断になってしまって入院中なのに...。

 

今回のケースでは、身体障害者手帳を使って本義足として支給してもらうために、私が市の身体障害者福祉の担当者と話し、県の身体障害者福祉の担当とも話しました。

状況を説明し、来所できない事情を説明しました。

その結果、やっとのことでしたが、県の担当者はソケットの交換だけは書類判定で認めてくれると言ってくれました。これは例外中の例外ですよと念押し(イヤミ?)されつつ。

膝継手の交換も必要だったのでこちらも手帳で支給してほしいとお願いしましたが、それはどうしても来所しないと無理ですと言われました。

もともと3R41マニュアルロック膝継手という固定膝継手を使っていたのですが、両下肢切断になってしまったので3R31シッティングアシスト付き固定膝の方が適切になりました。身体状況が変われば必要なパーツが変わるという話はよくあることです。

しかしながら、膝継手は来所しないとどうしても支給できないとのことでした。なぜなのか理解に苦しみます。

 

仕方がないのでそこから考えたのが膝継手を仮義足として処方するということでした。

仮義足は治療上必要な補装具として処方することが認められているものです。

たしかに今回は下腿切断術後のリハビリテーション治療のために病院に入院しています。

リハビリテーション治療のために大腿義足の膝継手が必要だからという理由付けは通るのではないかと考えました。

その線で市の国民健康保険の担当の人と電話で話したところ、なんと、問題ないとのお返事を頂きました。

というわけで、半分諦めかけましたが今回のケースでは、大腿義足のソケット交換を手帳で、膝継手の交換を保険で実施することになりました。

 

本義足の支給は自治体の判断一つでユーザーが振り回されるということが起こります。今回もそんなケースの一つでした。

なかなか出くわさない特殊なケースですが、同じような状況に遭遇した方の参考になれば幸いです。