義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

能動義手のVC(随意閉じ式)手先具

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能動義手のVC(随意閉じ式)の手先具を試しました。上の写真の右側のものです。VCはVoluntary Closingの略です。

今回とある業者さんにお借りして作業療法士とともに試させてもらいました。

 

左側の写真はVO(随意開き式)で、日本で使われている能動義手フックはこのタイプです。VOはVoluntary Openingの略です。

随意開きとは腕を伸ばす動作(肩甲骨の外転や肩関節の屈曲)でフックが開く構造のことを言います(写真左上の図)。

 

VC(随意閉じ式)は同じ動作で逆にフックが閉じます

右側の写真がVCです。これまでVOに慣れ親しんできたこともあり、VC使えるのか?と懐疑的でしたが、実際に模擬義手で作業してみると使い勝手はそう悪くないことが分かりました。

VCの利点は①把持力が強い、②直感的な操作で使えることです。

思いっきりケーブルを張ればそれに比例して把持力が強くなります。

直感的というのは、手を伸ばす動きで手先具が閉じてくれることがユーザーにとって感覚的に理解しやすいということです。

VCの欠点は①閉じをキープしようとすると、手元にあるレバーを健側の手でロックしないといけないということです。

これはつまり両手作業をしている時に途中で作業を中断してロックをかける操作を入れざるを得ないということになります。

しかし、実際試してみて分かったのですが、必ずしもロックをかけてなくても上肢の使い方で閉じをキープできました。

黒い方のVC(Grip prehensors)は細かいものをつまむのに向いていませんでした。茶色い方(Adept prehensors)は細かい物もつまめるので、大人が作業用に使うなら茶色い方が良さそうでした。

ちなみに日本ではVCの手先具は厚労省に認可されたパーツになっていません。

上で紹介した商品は米国TRS社の商品です。

Grip Prehensors - TRS Prosthetics

Adept Prehensors - Adult - TRS Prosthetics


pubmed.ncbi.nlm.nih.gov