リハビリに使う平行棒は各社から販売されていますが、義足リハに適した平行棒とはどんなものなのでしょうか?
まず義足で歩く場合、義足が地面に擦ってしまわないように気をつける必要があります。
特に大腿義足でこれは大切なことです。
大腿義足歩行では、義足が地面に引っかかると膝折れして簡単に転倒してまうからです。
この図で言うと、遊脚相の左から真ん中にかけての時期です。
そのため、義足長を健側より若干短くすることが多いです。
下腿義足なら健側と同等でもいいですが、大腿義足は健側よりも5mm〜1cm短くします。
足を擦らないようにすることをトゥークリアランスを確保すると言ったりします。
義足リハでは最初、平行棒内でリハビリをスタートします。
先程のクリアランスを確保するという点で考えると、平行棒内はできるだけ平坦な環境にしてあげるべきです。
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— Ottobock UK (@ottobockuk) November 21, 2019
↑のような平行棒が理想です。
日本のリハビリ環境は狭いことも多いせいか↓のような平行棒をよく見かけます。
これの何がよくないかと言うと、平行棒内に段差があることです。
この平行棒内で歩行訓練をすると一往復すると4回段差を超えなくてはいけません。初心者の大腿切断者には酷な環境です。
はじめはできるだけ簡単な訓練環境にするのが義足、というかリハビリ全般の基本原則です。
また、このような環境でリハビリをしていると、義足でのつまずきを防ぐために過度に義足長を短くしがちです。
義足長が短過ぎると体幹を側屈させた異常歩行の原因になります。
ちなみに私の勤務先では義足歩行訓練に平行棒内の段差は解消したほうがいいと気づいた時点からこのような段差解消のマットを作ってもらって対応しています。
これの欠点はせっかく持ち運んで移動できる平行棒なのに、移動しにくくなることです。
他の疾患の患者さんたちもいる中で義足の患者さんたちだけの環境を作るのは難しいですが、少しでも工夫できるといいと思います。