義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

【義足】電子制御(コンピュータ制御)膝継手ジニウム、リオニーXC、アルクスの違い

日本で手に入る主な電子制御膝継手の違いをごく簡単に説明します。
以下に挙げた電子制御膝継手は僕が関わっている患者さんたちに実際に使ってみてもらい、実際に装着しているところを目で見て確認しています。

ジニウム

f:id:ytanaka207:20191123143028j:plain

  • 立脚相重視
  • CLegでもジニウムでできることはだいたいできるが、どの機能もジニウムの方がより高度になっているイメージ
  • 階段を交互に足を出して上ることが可能
  • バッテリー長持ち(4〜5日持ちます)
  • 長時間の立ち仕事や重量物運搬、通勤電車に乗っているときなどは簡単に膝が折れたりしません。

リオニーXC

f:id:ytanaka207:20191123143129j:plain

  • 遊脚相重視
  • より活動的な人に
  • こちらも階段を交互に足を出して上ることが可能

アルク

f:id:ytanaka207:20191123143302j:plain

  • 立脚相重視
  • 他の電子制御膝継手と違い、多軸の電子制御膝継手。そのため地面とのクリアランスが保たれやすい(ちょっとした段差でつまずきにくい、坂道の上りで義足側の足をまっすぐ出せる(普通は少し外に回す必要がある))
  • 多軸なので、座った時に膝継手が前に出っ張りにくい
  • 膝がロックされるまでにジニウムより少し時間がかかるが、ジニウムと同様、立ち仕事、通勤電車は問題なく行ける
  • 階段を交互に足を出して上ることはできない

価格

CLeg, Kenevo < アルクス < リオニーXC < ジニウム

重量

ジニウム < アルクス < リオニーXC
 
ここ最近で私の記憶にある限り、当院ではジニウム2例、CLeg3例が実際に処方、支給されています。Kenevoという電子制御膝継手も1例、高齢大腿切断者に購入していただきました(ご本人の希望により)。
 
いずれも労災か自費です。1例は多肢切断という特殊な事情が考慮され、身体障害者手帳で差額負担OKでした。今後も労災の方で一人、二人と電子制御膝継手が支給されそうです。
 
大腿切断者の生活を支える上で、電子制御膝継手は非電子制御に比べると圧倒的に優れています。今後も電子制御膝継手は適応のある人にリハビリテーションと、処方、支給のサポートをしていきたいと思います。
 
今のところ当院で電子制御膝継手のリハビリテーションを実施できる患者さんは両側大腿切断の方、労災の方、自費でも電子制御膝継手を購入したい方に限らせていただいています。片側の大腿切断のみ(労災以外)の方が含まれていないのは、残念ながら自治体から電子制御膝継手が支給されることはほとんどないためです。