吸着式は断端と義足の一体感が他の懸垂方法より優れているので、うまくいけばこの懸垂方法がいちばんいいです。
吸着式のソケットは図のようにバルブが付いているのが特徴です。ここから空気が排出されて断端とソケットが一体化する仕組みになっています。
しかし、これは高齢者に向きません。
その理由について説明します。
第一に、吸着式ソケットは装着するときに義足側にしっかりと体重をかけてバルブから空気を排出しなければいけません。
これには片足で立てる能力とバランス能力が必要です。
高齢者にとってこれは簡単なことではありません。
第二に、吸着式ソケットはライナーを介して断端とソケットを吸着させるわけですが、そのためには断端の筋肉が豊富な方が有利です。
高齢になると筋肉の量が減ります。
極端に言うとしわしわの断端だとソケットに吸着させづらいのです。イメージできますでしょうか。
私はライナーを用いた吸着式ソケットを使っていた方が歳とともにソケットに吸着させづらくなってピンロック式に切り替えた症例を数例経験しています。
以上、高齢者に吸着式ソケットが適さない理由でした。参考になれば幸いです。
義足の懸垂方法にについてはこちら参考にしてみてください。