義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

【義足処方例】下腿切断で断端が長い場合の義足 スライダーの活用

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  • 70代女性
  • 活動レベル:K3
  • 長断端(70%)

断端が長い場合に困ることは2つあります。

1つ目は足部パーツを設置するスペースが狭いということです。選択できる足部パーツが限られてしまいます。

この症例のように低床足部しか入らなくなります。

2つ目はアライメントを整えるのが難しくなるということです。

ピンロック式の場合はスライダーというパーツを入れなければいけなくなります。

ピンロック式の場合、断端が長いほどピン先をシャトルロックに挿入する向きの正確さを求められます。

例えるなら弓を引いて遠くにある的を矢で射なければいけないイメージです。

そのためシャトルロック(的)は自ずと断端の骨の長軸方向に合わせて設置する必要があります。

普通はシャトルロックの直下に足部を取り付けます。

しかし、ここで困るのがそのままの位置で足部を取り付けてしまうとアライメントが悪くてまともに歩けなくなるということです(膝が外側に大きく振られます)。

そのため横にずらして足部を取り付けて荷重線が適切な位置に落ちるように設定する必要があります。

このときに必要になるパーツがスライダー(スライド式アダプター)というわけです。

今回紹介した症例は長断端かつ膝が内反(O脚)していたため余計にスライダーの必要性が高かったです。

 

まとめると、長断端かつ内反膝の今回の症例に対しては、低床の足部を選択し、スライダーを入れたことがポイントになります。

 

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