義足と義手のリハビリテーション

切断のリハビリテーション医療

コンピュータ制御足部メリディウムについて

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義足足部meridiumメリディウム

メリディウムはコンピュータで足関節の動きを制御してくれる足部です(細かく言うとMP関節も動きます)。

www.ottobock.co.jp

通常の義足の足部パーツは歩行時に足関節は動きません。

動いているように見えるのは、内部にあるカーボンファイバーのたわみ(しなり)です。

そのため健常者の足関節のような可動域は出せず、その動きに限界があります。

足関節が動かないことによる問題点は坂道や階段の上り下り、不整地を歩いているときなどに出てきます。

どんな路面でも坂道でも階段でも、その時の地面に合わせて足関節が角度調節されれば、常に足の裏全体で地面を捉えることができるため、安定した歩行が可能になります。

私が間近で見てこれはいいなと思ったのは、坂道の上り下りと、階段の上り下りの場面でした。これらの場面でメリディウムの良さがよく分かりました。

こちらの動画を足関節の動きに注目して見てみてください。


リアルライフ メリディウム Hans


Meridium - Judd is reclaiming his way

お分かりいただけましたでしょうか。

 

メリディウムの問題点の一つはその重さです。24cmサイズで1.275kgあります。

それに対してトリトンフット24cmサイズで660gです。

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トリトンフット(https://www.ottobock.co.jp/prosthetic_le/joint/foot/1c30/

足の先端に重たいものが付くことでモーメントが大きくなるため、本来の重量以上にユーザーは重さを感じるようです。

もう一つは足部のカーボンファイバーが貧弱なことです。例えばプロフレックスLPのようなエネルギー蓄積型の足部に比べるとつま先に体重をかけたときの反応に不満が残ることもあるようです。特に高活動者では。

www.p-supply.co.jp

 

また、大腿義足でメリディウムを使う場合ですが、その場合は膝継手はC-LegやGeniumのようなコンピュータ制御膝継手にしてくださいとのことでした(オットーボックの担当者さんに確認しました)。

たしかに通常の遊動膝継手にメリディウムを組み合わせると、重さの影響で遊脚期のコントロールが難しくなると思われます。

Geniumとメリディウムを組合わせて使ってみた場面にも立ち会いました。

屋外を普通のスピードで歩く分にはメリディウムの特性が活かされたとてもスムーズな歩行になります。

しかし、お互いのコンピュータ制御が連動していないための問題点があるようでした。

特に部屋の中などでゆっくり歩いた時にメリディウムの足関節が勝手に固定されてしまう(止まるものだと判断されてしまう)という現象が起きていました。

値段で言うとGeniumとメリディウムの組み合わせは最高ですが、必ずしも機能が最強になるとは限らないんだなと感じた次第です。

今のところメリディウムは下腿義足で中活動レベルの労災患者さんに適応があるのではないかと私は考えています。

以上、メリディウムを間近で見た感想を書いてみました。他の方には他の感想があるかもしれません。参考になれば。